三浦半島プチ散歩 三崎口駅～油壺 三浦氏が散った道　　

三崎口駅は現在の久里浜線の終点であります。開業した1975年以前は久里浜線の終点は油壷駅の予定でありましたが、用地買収が困難となりこの三崎口駅を暫定開業しました。駅名は三崎への入口という意味から付けられたものであります。

室町時代後期に、三浦道寸（どうすん）が北条早雲との戦いで橋を引いて防いだことから引橋の地名がおきたと伝えられています。この辺りは東京湾と相模湾が入り込み峡谷によって最も狭められた場所で、外城の大手門の役割をしていました。

三浦道寸（どうすん）と北条早雲との戦いの中で、道寸の子である三浦義意（よしおき）は背丈が226㎝、6mmの厚さのある甲冑を身につけ、とても勇猛で誰もかなう者がいなかった。果敢にも北条方の4人の若武者が義意に立ち向かったが、たちまち討たれようとしたところ、これを見た道寸が、「敵ながらあっぱれ」として4人を逃してやりました。その後、道寸らは新井城に追い詰められ討ち死にし、かつて助けられた4人の若武者は彼に恩義を感じ、道寸らの後を追って自刃していまいました。後に村人たちが、この4人の霊を慰めるために塚を築いて祀ったという言い伝えがあります。

三浦道寸が自害したのち、城から逃れた道寸の身重の愛妾は、なも田坂下にあった橋で赤子を産み落としてしまいます。橋のたもとに死産した赤子を手厚く葬り、自ら命を断ったという言い伝えがあります。今はそんな形跡はなくなっています。

油壺湾の北側に三浦氏の居城であった新井城がありました。1516年に新井城は北条早雲の大群に囲まれ、落城してしまいます。多くの将兵は油壷湾に身を投げたため湾一面が血汐で染まり、まるで油を流したような状態になったので「油壺」と呼ばれるようになりました。城は失われてしまいましたが、曲輪や土塁などわずかに残っています。

荒井浜海水浴場は相模湾を一望できる延長150ｍのコンパクトなビーチです。波は穏やかで海水の透明度が高く、日本の水浴場88選にも選ばれています。天気が良ければ富士山を望め、５月と８月にはダイヤモンド富士に出会えます。

油壷マリンパークは1968年4月に開園し、当時は比較的大きい水族館で人気を博していましたが、年々入場者数が激減して維持管理が困難なために今年の9月30日をもって閉園する予定です。跡地については京急電鉄と大手デベロッパーとの共同で開発し、新たな施設は２０２５年度に開業します。

三浦一族最後の当主となった三浦義意は、新井城の攻防の末21歳の若さで亡くなりました。自害する際、自身で首をはね、首は敵方の本拠地小田原まで飛んでいき、胴はこの地のすぐ下の胴網海岸に落下したと言われています。その生首は、目を見開いたままで、３年間まるで生きているようでした。

三方を海に囲まれ、強力な水軍を持つ新井城は難攻不落であり、籠城戦は３年にも及びました。1516年に援軍の扇谷上杉氏が敗退したことより、三浦道寸は城を打って出て総攻撃を行う決心をしました。その夜城内で酒宴が催されましたが、城から逃げ出す者は一人もいなかったと言われています。翌朝、三浦勢は城から出て大いに戦いましたが、圧倒的な北条軍の前に全員が討死、そして道寸は辛くも城へ戻りその場で自害して果て、これによって名門三浦氏は滅亡したのであります。三浦道寸享年66才。

油壺温泉は地下1,514メートルから湧き出す温泉です。泉質はナトリウム塩化物泉、身体の芯からポカポカ温まり、出浴後の保温効果も高く、弱アルカリ性なので保湿効果もあります。この温泉はホテル京急油壷観潮荘にあり、入浴料は大人1,200円、子供600円。営業時間11時～22時。また、ホテル内には食事処があり、日帰り宴会もできます。